「ほら、おいで」



それでも、手のひらの真ん中あたりから、じわりと熱が伝わってくるから、心が落ち着く。



「…怖くなんかないしー……びっくりしただけだよ…」


見透かしたように笑われたのがちょっぴり照れくさくて、思わず可愛くないことを言ってしまった。


立ち止まっていた足を、また前へとすすめる。

気のせいか、さっきよりも足が軽い気がした。



「……立夏の手つめてぇ…やっぱり手袋は必要だな」

「ふふっ、やっと気がついたんだね…防寒具の魅力に…!」

「あとは……はらまきも必要か…」



わたしの話を聞いていないことと、またお腹の心配をされて恥ずかしかったので、手をつないでいない方の手を、織の肩に軽くぶつけた。



「あぁ……ごめん」



話を聞いていなかったことに気がついたのか、織はこちらを振り向く。

そしてコテッと首を傾げて言った。



「……俺の手あったかい?」



どうやら、お腹の心配をされて恥ずかしかったということは、気がついていないみたいだ。


笑いを堪えながら、織の純粋な瞳を捉える。



「あったかいよ」



織はとても、あたたかい人だ。