織は視線を逸らしてから、ぎこちなく頷いた。
そっと、そっと手をのばす。
寒さのせいか、緊張のせいか、のばした手は小刻みに震えている。
私達を照らす街灯のあかりが、チカチカと、消えてはついてを繰り返す。
もう少しで触れそうだ。
指先が触れそうになったとき、チカッと街灯のあかりが消えた。
すぐにつくはずのあかりは、数秒たっても暗いままだ。
……え、…停電っ?
静かやし…真っ暗…あれ…、なんか、
なんかこわい…!?
とっさに、織の右手をギュッと握った。
それでもまだ落ち着かなくて、きょろきょろとあたりを見渡せば、少し遠くにある街灯が視界に入り、驚いた。
…あかるい!!
どうやら停電ではなく、ここの街灯の調子が悪かったみたいだ。
「……手つないだら怖くない、大丈夫だ」
まるで、私の気持ちをすべてを見透かしているみたい。
織がそう言った後すぐに、消えていた街灯が、明かりを灯した。
織の顔がはっきり見えて、思わずドキッと胸が高鳴る。
ふわりと優しく笑う織の手は、
少し冷えていた。