けれど織の心配そうな顔を見て、両手を見せたことを後悔した。



「うそだよ、こーんなの全然いたくないし、…パーンチっ」



織の肩に、軽く握った拳をぽんっとあてて笑ってみせる。

けれど織は笑わなかった。

自分の手をまじまじと見つめた後、首の後ろに手をやって「んー…」と首を傾げている。


……なにを…やっているんだろう?


不思議に思って観察していると、突然わたしの方へ振り向いたので、ビクッと肩がはねた。

ゆっくり私の目の前に伸びてきた、織の右手。


どうすればいいか分からず立ち止まると、織もぴたりと足をとめる。


思わず視線が泳いだ。



「……え……と、」



この手はなんだ?!

わたしはなにを求められてるの?!



「……俺の体温…あったかいって言ってたろ」



織が少し照れながら言うから、右手を差し出された意味を知ってしまった。

それって…つまり……



「手…つなぐ…の?」



どうしてこんなにドキドキするんだろう。

今まで、織と何度も手をつないだことはあるから、初めてじゃないのに。

勢いでつなぐのと、こうして見つめ合ってからするのと、全然ちがうんだ。