織との思い出が、パラパラとアルバムから剥がれ落ちていくような気がして、私は下唇をかんで俯いた。
「小さい頃から…立夏はいつも、誰かと笑顔で…俺の前を走ってて…」
「その横顔が……すげぇ…好きで…」
……わたしの方が好きやし
「勝手にほっとしてた…、…でも、」
「……すげぇ…遠い気がして…」
……遠くにいったのは、織の方やん
「だから必死においでって立夏をひきとめて…、まだここにいろよって…ひきとめて……最低だよな……ごめんな」
……織は最低なんかじゃないよ
「そばにいても…幼なじみでも…家が近くでも……隣に…、いるのに……」
「いつか俺のそばからいなくなって…遠くに行ってしまうんじゃねぇかって…」
「俺と過ごした記憶を…ぜんぶ、忘れて…しまうんじゃねぇかって……」
「自信がなかったんだ…いつも助けられてばっかで、助けてやれたことなんてない…」
そんなことない……いつも織に助けられてたよ
「……守ってやれないなら…、そばにいない方がましだ…って…、」
「だから…、」
織の歩くスピードが、ゆっくり遅くなってきて、それから静かに足を止めた。
私も足を止める。
視界の端でキラキラと光る、大きくて背の高いイルミネーションが、今はすごく悲しかった。