「ほら、おいで」



ぼんやり雪だるまを眺めていると、視界の端でなにかが揺れた。

気になって振り向くと、織は「あっ」と驚いたように目を泳がせる。



「…あ……これ…」



織が手に持っているのは、フェルトでできたフルーツケーキに、チェーンがついたストラップだった。



「ほんとうは本物のケーキ…あげたかったんだけど…」

「……くれるの?」

「…もらって…くれる?」



質問を質問で返すところが、織らしい。



「っ…あははっ…っありがと…!」



だってプレゼントは、その人を想う気持ちなんでしょ?


私のことを考えてくれただけで、幸せだよ


それに、知ってるんだから。

織が1位だったことも、誰かに1位を譲ったことも、知ってるんだからね。


私はストラップを受け取った。

もふもふしてて、触り心地がいい。



「……っ大切にします!」



びしっと背筋を伸ばして言うと、織は肩を震わせて、面白そうに笑った。



「腹減っても食わないでください」

「っ…!!食べないし…っ」

「……くくっ…」

「たまに子供扱いするのやめてください」



言い合いをしながら、笑いながら、また私達は歩き始めた。

ひとりぼっちの雪だるまに、背を向けて。