「ほら、おいで」



目を丸くしている織を見て、ハッとした。


あ……!

言っちゃった…!!


顔が、頬が熱くなっていく。

目を丸くしていた織は、少しだけ顔を俯かせて、それから肩を震わせて笑った。



「…ふははっ……うん。…そっか」



すごく嬉しそうに、笑った。

声を出して笑うところを見たのは、随分と久しぶりな気がした。

イルミネーションがある方へと歩き始めた織の背中を、ぼーっと見つめてしまう。


見惚れているうちに、織はこちらを振り向いて、それから左手を私の方へ差し出した。



「ほら、…おいで…っ」



その口癖は、わたしをいつも甘やかす。


なにに対してもあまり興味を持たない織が、わたしを必要としてくれているみたいで、それを言われるたびに嬉しいんだ。


ここにいていいんだねって。

そばに行ってもいいんだ…って。


安心する。


はじめの一歩は少し戸惑いながら。

次の一歩は力強く。


わたしは織のもとへ勢いよく駆けていった。