「ほら、おいで」



どこか織と話が噛み合っていない気がして、顔を覗くように首をかしげた。



「…ずっと忘れてた」



伏し目がちだった瞳が、今度は真っ直ぐわたしを捉えた。

視線が重なって、思わずドキッと胸が高鳴る。



「……約束は…、未来がたのしみになる魔法だ…ってこと」



やっぱり織は、なんだか私とは違う話をしているみたいだ。


まるで……そう、



「…本にでてくるセリフ?」


みたい。



「…っ…ちげぇよ」



織は目を細めて、くすっと笑う。


違うんだ。

織は本をよく読んでるから、てっきり本の中に出てくるかっこいいセリフだと思った。


違うなら、織がいま思ったことなんだ。


…ふふっ…すごい、織はすごい



「…それ、すごくいいねっ、わたし好きだなぁそれ!…へへっ…約束は未来がたのしみになる魔法だ…!!」



口に出すと、魔法がもっと強くなったような、そんな気がした。


……織の言葉は…、モヤモヤをあたたかく包み込んでくれる魔法だ



もうひとつの魔法は、心のなかで。