「ほら、おいで」



どうして視界がぼやけてくるんだろう。

ぐっと長く目を閉じて、それからゆっくり瞼をあげた。


どちらからでもなく織と視線が合わさって、私達は笑い合う。

織が優しく包み込むように微笑んでくれたから、またわたしは前を向くことができた。


ミカとショウ。それから母ちゃんと父ちゃん。


出会ってくれて、ありがとう。



「……っ…はいっ…」



わたしは大きく手を振って、また歩き始めた。



歩くたびに、ミカ達との距離が遠くなっていくから、また来年会えると思っていても、心の中がどこかモヤモヤして寂しい気持ちになる。



「来年がたのしみだねっ」



だからモヤモヤを吹き飛ばすように、歩く先を見つめてそう言った。

すると、隣から「ふっ」と小さな笑い声がして、視線を向ける。

織は伏し目で、ぼんやりと懐かしい記憶をさかのぼるみたいに、はにかんだ。



「……そうだな……そうだったな、約束は」



ふわふわ、と織の口から白い息がでる。


…そう…だった?