「ほら、おいで」



愛に溢れた瞳をしている。


真っ白な部屋に、ぽつりとひとつ、色づいたアルバムができるみたいに。



「…っ…〜〜っ」



ショウの瞳から、ぽろぽろと大粒の涙があふれだしてきた。



「…おれはっ…泣き虫じゃないからなぁっ」

「……俺も泣き虫じゃねぇ」



すかさず、織がそう言い返す。

小さい子相手なのに、大人ぶらず、着飾らずな織は、なんだかとても面白い。



「ぶふっ…あははっ」

「……おい、立夏」



私が笑うと、織は悲しそうに眉を下げた。

きっと、自分が泣かせてしまったと思っているんだろう。


……ちがうよ、織


ミカが私の手を離して、ショウのもとへ駆けていった。

そして、きゅっと小さな手で、ショウの手を握った。


兄妹の絆にほっこりしながらも、ミカとつないでいた手が寂しい。

やっと歩き始めた二人の後ろを、織と並んで歩く。


ミカとつないでいた手が寂しい、寒い。

温もりがほしい。

織の手に、自然と手をのばしていた。


触れる前に一度だけ。

横目でチラッと織の顔へ視線を向ける。


その表情があまりにも悲しそうだったから、思わず、触れようとしていた手をひっこめた。



「…ちがうよ織、そうじゃない」

「……きっと嬉し涙だよ」



手に触れない代わりに、

コンクリートへ視線を落としてそう言った。



「……そうか」



織はただ静かに、そう呟いた。


コンクリートから織へ視線をあげると、織は静かに笑っていた。


ゆるりと口の端をあげて、目を優しく細めて、笑っていた。