「ほら、おいで」




「…なんでそんな苦手なゲームやったんだよ」

「っ…そ、それはですね…」

「家庭科の成績表2なの、自分で分かってるはずだろ」

「うん…!?織は記憶力がいいね?!」



私のトイレのこととか、家庭科の成績表が2だったこととか、どうしてそんな小さなことまで覚えてるんだよ〜〜っ



「手……」



ゆっくりとのびてきた白くて細い手が、私の両手に優しく触れた。

じっと私の手を見つめて、あまりにも丁寧に触るから、なんだか心臓がドキドキしてしまう。



「……怪我したらどうすんだよ」



いつもより少しだけ、低い声だった。

まだ私の手に怪我がないか確認する織を、思わずじっと見つめてしまう。

触れられている部分が熱くなってゆく。

きっとそれは、織の体温が高いからだ。


………たぶん



「どこも痛くねぇの?」



そう問いかけながら、織は顔をあげた。

とたん、パチッと視線が重なって、思わず肩に力が入る。


織は目を丸くして、それから頬を赤らめた。

きっと、私がずっと織の顔を見ていたことに気がついたからだろう。

けれど視線を逸らすことはしなかった。

できなかった。



「……いたく…ないよ」



恥ずかしいのに、照れくさいのに、真っ直ぐ目を見てくれていることが嬉しい。



「…お兄ちゃんたち、そんなところでイチャイチャするなよ、みんな見てるぞ」