《今日のニュースは絶景イルミネーションスポット3選〜!》
つけっぱなしのテレビから、賑やかな声が聞こえてくる。
《さぁ、あしたはついにクリスマスですね〜》
《そうですねぇ》
家族で仲良くケーキを食べたり、恋人と一緒にイルミネーションを見に行ったり、
一人で限定コンビニスイーツを満喫したり、楽しむ形は皆それぞれ。
私は、母ちゃんと父ちゃんと一緒に、いつもより少しだけ豪華な晩ごはんを食べて、
その後、小さなホールケーキを分けて食べる予定だった。
母ちゃんと口喧嘩するまでは。
「母ちゃんのばかぁ〜〜もうっこんな家出てくからぁ〜〜」
夜の21時。クリスマスイブ。
「かぁちゃんの、あほ〜〜っ、おばば〜〜っ」
わたしは泣きながら家を飛び出した。
「あんた!いま、おばばって言った?!」
「ゆった〜!だって、すぐ怒るし、頭にぜったいツノはえてきてる〜〜!」
追いかけてくる母ちゃんから必死に逃げながら、最後はそんな捨て台詞を吐いて、
家族で一緒に食べるはずだった晩ごはんを置き去りにして、まだ仕事から帰ってきていない父ちゃんなんて知らないと、全力で走った。
「かあちゃんの、あほぉ〜〜うわぁぁ〜ん」