清水隆幸は異世界に行く準備をしていた。
「これで良いな」

 装置をセットして、スイッチを入れる。

 転移装置のことだ。

「行けー!」

 視界が歪み、隆幸は光に包まれた。

「着いたのか?」

 目を覚ますと、デジャブな景色が。

「本当に異世界?」

 一部物は変わってはいるが、植物などは同じだ。

「確かに異世界に来たはずだ」

 すると、女の子が歩いてきた。

「あの子、誰かに……」

 それは隆幸の彼女にそっくりだった。

「まさかな」

 隆幸の彼女は栗原三樹と言う。


 隆幸は声をかけた。

「三樹」

「えっ? 私のこと?」

「すみません。彼女に似てたもので」

「あなた、名前は?」

「清水隆幸」

「聞いたことがある名前ね。うっ」

 女の子が苦しみだす。

「どこから来たの?」

「違う世界から」

「まさか……」

 二人は顔を見合わせる。

「私はシシリーって言うんだけど、ミキの生まれ変わりみたい」

「ミキって、苗字は?」

「確か、クリハラって言ってたわ」

「俺の彼女の名前だ」

「うそ」

 シシリーは黙ってしまった。「まさか、ここでタカユキに会うなんて」

「俺もびっくりだよ。彼女の生まれ変わりに会えるなんて」

「タカユキ」

 シシリーが抱き着く。この感触は彼女の三樹のものだ。

「もう、いいかしら? 体が……」

「ごめん」

「タカユキはミキとどんなことをしていたの?」

「キスはしたかな」

「ん」

 シシリーがキスをしてきた。甘いキスだった。

「こんな感じ?」

「うん」

 思わず、シシリーを抱き寄せる。

「あ。タカユキ」

 シシリーが恥ずかしがる。

「会ったばかりなんだから」

「ごめん」

 隆幸は三樹のことを聞いてみた。

「まだ、あなたの世界にいるんじゃないかしら? 呼ぶことは出来ないけど」

「いるなら良いよ」

「こんなところで話してても仕方ないわね。うちに来ない?」

「良いの?」

「もちろんよ」