スネを蹴って、怯んだ隙に突き飛ばす。 背中を向けて逃げ出した。 ヒールのあるブーツで砂浜を走るのは辛いけど、構ってなんかいられない。 怖い。怖い。怖い。 知らない人みたいで。 怖い。怖い。怖い。 そんなこと思われてるなんて。 頭の中がいっぱいだった。 ただただ、『可愛い弟』が手を放して、どこかへ行ってしまいそうで。 楽しい思い出がガラガラ崩れる。そんな音が聞こえた気がした。