【短編集】 and You.

日がとっぷりと暮れてから何時間も経つ。
電灯があるから暗くはないが、昼間の暖かさは欠片もない。

秋も終わり。北の方では初雪も観測されてから、かなり経つ。

今日から更に冷えるって、お天気コーナーのお姉さんも言っていた。
自他共に認める寒がりの自分が、この情報を逃すはずもない。
厚手のトレンチコートの他に、帽子にマフラーに手袋。
装備は完璧だ。

右隣を歩く彼は、寒さのためか、自分との身長差を埋めるためか、少し前屈みで話しかけてくる。
ベロアのジャケットに手を突っ込んでいるあたり、寒さのせいだろうけど。
胸元の開いた服着てるんだから、自業自得のような気がする。