【短編集】 and You.

「何、ぼさーっとしてんの?」



耳元で囁かれて、思わず身体が跳ね上がる。

聞き慣れない、自分より低い声。

振り向いて見た顔は、やっぱり覚えのない顔で。



「・・・どちら様ですか?」



「・・・冗談キツイぜ。幼馴染の顔、忘れるか?
この前、カラオケ屋でも会ってんのに。」



言われてみれば、確かに幼馴染の顔で。

先日、友達とカラオケに行った時に見た顔だ。