わたしが頼くんの存在を知ったのは入学式だった。






今思えばあれは、一目惚れ……だったのかも。




春風が入る体育館で校長先生の長い話しにあくびが出る中、少し前に並ぶ1人の男子生徒が目に飛び込んできた。






真新しい制服がよく似合っていて、友達とクスクスと笑い合う横顔に惹かれるものがあったことを覚えている。




それからは、気づくといつも目で追っていたし、頭の中は頼くんでいっぱいに…。






そんな片想いを1年、告白して付き合えることになった時はほんとに嬉しかった。






「…ま、俺の気持ちが心変わりしないように努力するんだな」





過去の思い出に浸っていると、頼くんの声が聞こえ、頭に乗せられた手にドキッとする。






「なにそれ〜…心変わりしないように努力してよ…ただでさえ自信ないんだから」




頼くんがわたしを本当に好きなのか、未だ信じられないんだからね。