「どしたの、お前」

「……。」

「寝不足?」



1時間目から、ずーっと机に顔をくっつけたままの俺の横に、菊が座った。


前の席の雄介も、それに気づいて振り向いてくる。



「どーせ夜中までエロいもんでも見てたんだろ」

「そうなの?大ちゃんにしては健全じゃん」

「……。」



健全な男子高校生の頭ん中は、基本エロいことばっか。


それは多分、みんな同じ。



「……菊、」

「ん?」



顔を上げて……菊を見る。


聞きたいことが、あるから。



「菊の、……おとーと、」

「うん?」

「…、」



彼女いんの?って、聞こうかと、思った、けど……


やめた。


絶対、なんで?って聞かれるし……聞かれたときのうまい言い訳なんて、思いつかねぇ。



「……なんでもない。」

「なんだそれ」