「……これ、コピー…してきます」
ななちゃんの遠慮がちな声が、静かな教室に響いた。
3人きりの、教室。
桑野は喋んないで真剣に作業をしてるから、答えるのは、俺?
や、待って。
つーか、1人で行くの?
重くね??
ねぇ、待って、
「ななちゃん。」
初めて名前を、呼んで、みた。
「……俺、も……一緒行くよ。」
「、…」
「……重い、でしょ」
返事が届く前に、桑野にも伝える。
「桑野、俺、ちょい抜ける。」
「う、え!?大ちゃんさん、裏切るんですか!?」
「……すぐ戻るって、」
すぐ戻れるかなんて、知らないけど。
ごめん、桑野。
俺、今、ななちゃんのことで、頭いっぱいなの。
桑野のこと、ごめんだけど、構ってやれねぇの。
こんなサイアクな先輩の俺を、床から見上げる桑野の視線を避けるように、立ち上がる。



