「あ、佐伯。お前春田と別れたってまじ!?」



教室に飛び込んできた雄介が、大声で言う。



「え、まじ?別れたの?いつ?」

「どうりで最近春田ここに来ないわけだ」



ゾロゾロと、あずさの周りにみんなが集まる。


え、てか別れたの?


別れそう……じゃなくて?



「今廊下で女子が騒いでた。お前ら別れたっつってきゃーきゃー言ってたぞ!」

「うるせぇな。私が別れようがくっつこーが極めてあんたらにはどーでもいーだろ」



深くため息を吐いたあずさが、嫌気がさしたように歩き出す。


傷ついてんだなって、鈍い俺にだってわかるから、雄介もそろそろ気づいてる、はず。



「佐伯。お前、泣いた?」

「は?」



雄介、これ以上アホを晒すのかって。


友達なのに、哀れになった。



「春田にフラれたんだろ?泣いたのかって」



そろそろ、あずさがキレるぞ。


雄介、もう瞬くんの話しは、そろそろ……



「バカじゃねぇの。なんで私が泣く、」

「ちゃんと泣けよ」

「……」



止まったのは、あずさだけじゃない。


俺たちみんな、止まったまま、雄介を見た。