「ちっ、冷てぇ」

「……。」



機嫌……悪ぃな。


瞬くんと、またなんかあったんか?


そんなこと、恐ろしくて聞けないけど……。



「棒って、どれ?」

「これか?」



鍵を開けて倉庫の中に入った、1番右奥。


埃まみれで土っぽい棒を見つけた。


取りたいのに、なにが入ってんのかわかんねぇ重いダンボールが引っかかってて、なかなか取れない。



「どいて」



俺を手で押し退けたあずさは、棒を持ってグイッと無理矢理に引っ張りあげた。


引っかかってたダンボールが微妙に破れて、その破片と一緒に持ち上げられた棒。



「怪力……。」

「最近の男は貧弱すぎ」

「……。」



棒を2本持ったまま、あずさが俺を置いて倉庫から出る。


鍵を閉められそうな気がして焦ったけど、鍵は自分の手の中にあんだって思い出して、安心して俺も出た。


倉庫の鍵を閉めて、雨の中をまた歩く。