「あのね、体育祭の旗に使う棒が2本折れちゃったみたいで。チーム分しか棒ないから、うちのチームは昔使ってた古いやつ使うことになったの。裏庭の倉庫の中にあるんだけど、取ってきてくれない?」

「えー、私旗係と関係ないし」

「おめぇ、ざつよー、だろ。」

「なんでもいいからとにかくよろしくね。じゃ!」



面倒臭さ100%の中、とっとと取りに行くぞってなって、あずさと一緒に玄関に向かう。


早くしないとチャイム鳴っちゃうって思うけど、授業に遅れたら、それはそれでラッキーだから、結局ダラダラ歩く。



「あぁ面倒くせー!」



玄関に着くまでの間、あずさはとにかく『面倒くさい』を連呼。


玄関から見える外は結構な強さで雨が降ってて、それを見たあずさが今度は舌打ちをした。


怖ぇ……。



「もー、傘とか面倒だしいらね!」

「……。」



普通の女子は髪型とか顔とか制服とか気にして、雨に濡れんの嫌がりそうなもんだけど。


やっぱこいつ、普通じゃねぇな。



「行くよ」



あずさのあとに着いて、雨の中を歩き出す。


校舎の裏に回って、裏庭の奥にある倉庫を目指す。