それから菊と2人、のそのそと学食を出た。
「あ、大ちゃん菊ちゃーん!さっきぶりー!」
渡り廊下を抜けた先で、またしても直人に遭遇。
「まーたお前かよ」
「うひひ、会いたい気持ちが強いと会えちゃうもんだね」
「は、なんで俺らに会いたいわけ」
「好きだからじゃん?」
「はは、なんだそれ」
二人が賑やかに話し出したから、その間に飲み物買おうって一人自販機に向き直る。
どれにするんだい?って聞いてくるでっかい機械に、迷いなくボタンを押してみせた。
ガコン
しゃがみ込んで取り出したのは、コーヒー牛乳。
手の平に冷えた感触が伝わったと同時に、立ち上がる。
視線を感じたのは……丁度そのときだった。
「…?」
感じるほうを確かめるように見てみたら、
「ぇ…」
多分、誰にも聞こえない声が出た。
人って驚き過ぎると、でかい声なんて出ないことを知る。
だって、なんかすげえ見てない……?
高橋ななちゃんが……俺のこと、すっごい見てる。
……違うかも。
見てんのは、俺じゃなくてコーヒー牛乳?
いや、そんなことより。
『会いたい気持ちが強いと会えちゃうもんだね』
直人、それ正解かも。



