話してる間も、目ではずっとあの子を探してる。
だけどこの位置から見える場所には、全然、一回も見当たらない。
あの柱の陰にいるんかなって、覗きたいけどそれも無理。
それでも気分は暗くはない。
諦めなくていーんだって、このままでいーんだって、さっちゃんのお陰でわかったから。
さっきまで暗かった気分が、バカみたいに明るくなってる。
自分の単純さにびっくりだけど、あの子のことをまだ好きでいていーって、それが嬉しくてしょうがない。
いや、まじで単純だな、俺……。
「大ちゃん先輩、こんにちはぁ」
「…、」
あの子を探す視界の中に、突然、愛原さんが映った。
今日も相変わらず俺に向けられた声が、耳を抜けていく。
「菊地先輩もこんにちはぁ」
「うん、こんにちはー」
先輩しかいない中、堂々と声を掛けてくる行動力はいつもすごい。
俺にも分けてくんねぇかな、その行動力。
愛原さんみたいに積極的になれたら、俺もきっとあの子に存在ぐらいは知ってもらえてるんだろうなって……自分の不甲斐無さに悲しくなる。



