辺りは暗く、月の光だけが白くアスファルトを照らしている。

 夜の十時頃外に出てから約二時間。
一般的に、中学生の僕と小学生の妹が二人きりで外出して良い時間ではないだろう。


 しかし我が家の事情は少し違った。
どちらかといえば、僕たちは親に一時的に家を追い出されているのだ。



「ねぇ、もう終わったかな……?」

「終わってるよ、きっと」



 不安そうな視線を向けた妹の利香の手をきゅっと握りしめ、二人分の足音を響かせながらゆっくりと家に続く道を歩いた。