「もしかしてジャージないの?」
「……っ、うん……」
「……そっか。じゃあ、誰かの借りてこよっか」
「えっ?」
おたがいの体が離れると、俊はただほほ笑んだ。
何も聞かずに。
結局、俊はそれ以上、なにも聞いてくることはなかった。
もしかしたら、察知してくれたのかな。
「ごめん、遅れた」
「遅れただぁ?軽く言うな矢追!!罰として、2周してこいっ」
「は、めんどくさ……」
俊はため息をつくと、言われたとおりに
コーンの周りを走りはじめていく。
その姿に、胸がじんわりと熱くなる。
きっと私を目立たなくさせるために、俊が代わりに罰のぎせいになってくれたんだ。



