「あぁ、日誌か。一緒の男子は?」


「佐々木くんはね、もう帰っちゃって」


「宏ちゃんめぇ……なんで結々残して帰んの!ほんっとありえない」


「ふふ、大丈夫だよ!佐々木くんも忙しいだろうし……」



ほっぺたをぷくっとふくらませて、「よくない」と口をとがらせる俊。



なんだか、もうそれだけで充分で。
胸がいっぱいになるんだ。



「さっきね、窓を閉めてたらてんとう虫見つけたんだよ」


「ずっと外にいたら暑いだろうなー」



廊下に響きわたる、2人だけの声。



それが嬉しくて嬉しくて、自然と笑顔があふれてしまう。