たしかに楽しいって感じたのはほんと。
でもそれは、1人の友達としてだ。
ただ本について、一緒に話していただけなのに……。
「やっぱ、西花さんいいよ。
本は俺だけで間に合いそうだから」
「ごめんね、黒瀬くん……ありがとう!」
気をつかって、黒瀬くんは先に行ってくれた。
悪かったな……。
結局、ぜんぶ運んでもらって。
「ねぇ俊、は、はずかしい……」
「……うるさい、」
廊下のどまんなかで、俊に力いっぱい抱きしめられている。
もう少しでチャイムが鳴る時間だから、廊下には誰もいないけれど。
どうしよう……。
抱きしめられてから、今で3分くらいが経過した。
黒瀬くんといたこと、そんなに嫌だったのかな……?



