意識が戻っても記憶喪失なんて……
そんなの考えたこともなかった。
「なんで、俺は病院で入院してんだか」
ほんとに忘れてるんだ……。
私のことも事故のことも……。
ショックだ、俊が私を一瞬で忘れてしまうなんて。
「お、矢追くん。意識が戻ったんだねぇー。よかった、よかった」
「先生っ!その……俊が記憶がないみたいなんです……っ」
「あぁ、大丈夫。頭を打ったせいで、一時的な記憶喪失になってるんだよ。後はちゃんと正常に戻るから」
「そう……ですか」
よかった……。
一生戻らないんじゃないかって、ひとりで落ちこんでた。
でももし、俊の記憶が戻らなくても、私はずっと俊のそばから離れない。
……離れたくないよ。



