「母さん、子供たちのレッスン終わったから、帰したわよ」

 お母さんが中庭にやってきた。

「みんな、素直で可愛いかったわ。ツムギが小さい頃から魔女だって分かってたら、私でもあんなふうに教えられたのかしら」

 お母さんは、土埃まみれで汚れた私の様子を見て笑った。

「ずいぶんとしごかれてるわね」

「お前のときよりもずっと優しくしてるよ」

「ぷぷっ。私には厳し過ぎたって、反省した?」

「ずっと近所の子供に教えてて気付いたねぇ。そんなに厳しく教えなくても、魔女は自分の能力を使いこなせるもんだって」

「それはいいことね。あら? ツムギ、スゴいじゃないの」

 お母さんは竜巻を起こす私に、軽く驚いたようだった。

「おばあちゃん、雑草なくなったよ。次、水を発生させる呪文、教えて」

「その前に休憩しようか? ツムギ、今、自分が魔力のほとんど残ってない状態だって分かる?」

「へ? …あっ、こういう状態が、もうすぐ魔力が切れるのね。なるほどー。なんか理解できた気する」

「今、どんな状態か、教えられたら、理解できたんだね? だったら、逆に、魔力過多で漏れてるときに、漏れてるって指摘されたら、その状態も、今のツムギになら理解できるかもしれないねぇ」