「…ま、魔女…の、娘って…??」

 ハヤト君が店の看板を指差す。

「『Witch’s Herb』って、魔女のハーブ、って意味だろ?」

「あ、何だ、そういうことか!」

 びっくりしたーーっ! さっきからもう何度目?

 今まで考えたこともなかったけど、お母さんてば、店名、まんまじゃん。少しぐらい捻りなよ。

「小山のお母さんのお店なんだけど、小山にぴったりな感じするわ」

「ど、どういう意味で?」

 まさか『Witch』って店名が!?

 私はさっきからずっと軽くパニックになってる。

「んーと、ハーブの優しい薫りとか、自然な色とか、居心地いい感じとか…」

「えっ!?」

「オレ、小山が描いた絵を思い出したわ。2年生になって最初の美術で、校内の風景画を描かされたじゃん? 水彩絵の具で。描き終わった後でさ、先生が小山の作品、『色の濃淡がいい』って、みんなに見せたけど、あんとき、優しい色使いで好きだなって思った」