魔女の恋は空回る

「ち、違いますっ! そんな、オレ、彼女とかいませんっ!」

 ハヤト君は慌てふためいた。

 よかった! やっぱりハヤト君に彼女はいないんだ!!

「あら、ごめんなさい。差し支えなければ、飲まれる方の年代だけでも教えていただけますか? 美肌と言っても、若い方なら、日焼けやニキビを気にされますし、一定の年齢以上の方にはアンチエイジングが人気です。他にも、アトピー体質を改善するハーブなどございますよ」

 お母さんは流れるように商品説明をする。

「えっと、母親に…なんです。誕生日で…。アンチエイジングっての、いかにも喜びそうです」

 ハヤト君は言いにくそうにした。私の方をチラッと見る。

「こんなこと言うと、マザコンだと思…わない?」

「ううん、全然! お母さん思いなんだなって思うだけ。母の日に買いに来る男子も、けっこういるんだよ」

「そっか」

 ハヤト君はホッとした表情を見せた。