魔女の恋は空回る

「わっ、お母さん、これすっごく美味しい!」

 私は一口飲んで、すぐに気に入った。

「ツムギの好みは分かってるからね。勝負運には関係ないんだけど、ツムギの好きなオレンジピールも入れてみたの」

「このハーブティーでお願いします!」

「はーい、ご購入ありがとうございます。何グラムにする?」

「私とお父さんが1杯ずつ飲めればいいんだけどなぁ」

「こらこら。試飲して、2杯分しか購入してもらえないんじゃ、店が潰れちゃいます。うちは50グラムから10グラムずつ単位でしか販売しておりませんよ??」

「今月のお小遣いがなくなっちゃう…」

「お父さんにも淹れてあげるんでしょ? 大喜びで全額支払うか、お釣りが出るほどのお小遣いをくれるわよ。50グラムあれば、定期テストのときにも飲めるじゃない」

「じゃあ、50グラムください」

「毎度ありがとうございます。準備するわねー」

 私はハーブティーを飲みながら、お母さんの作業を眺めていた。

 そのとき、店のドアが開く音がした。