魔女の恋は空回る

「学生時代のことを聞かれると、お母さんもちょっと後ろめたいこと、やらかしてるのよね…」

 それからお母さんはしばらく考えて言った。

「自分のお小遣いで、お母さんのお店にお客としていらっしゃい。勝負運を強くするハーブティーを売ってあげるわ。それぐらいならいいでしょ。魔女じゃない他の同級生にも、できることなんだから」

「うわー! お母さん、ありがとう!」

「言っときますけど、勝負運がアップするだけだからね! 思い通りになるとは限らないんだから」

「それでもいいの!」

 お母さんは、やれやれ…という表情をしていた。

「お父さんも、今度、大事な商談があるから、そのハーブティー欲しいな」

「私が買ったら、お父さんの分も一緒に淹れてあげる」

「ツムギ、優しいなぁ。ありがとう。それと、お父さん、最近、薄毛が気になってきたから、髪が生えるハーブティーも欲しいなぁ」

 お母さんがお父さんの髪に視線をやって、優しく笑った。

「私は別に気にしてないわよ」

「そう? じゃあ、このままでいいかなぁ」

 はいはい、ごちそうさま。私はこっそり心の中で呟いた。