「きゃっ!」

 代わりに、サキちゃんが段ボール箱につまずいた。

 サキちゃんは、バランスを崩すと、ハヤト君の方に倒れた。

「おおっと。気を付けて」

 ハヤト君がサキちゃんの腕をつかんで支えてあげるのが、はっきり見えた。

 そ、そんなぁ。せっかく猫目になったんだから、私がわざと段ボール箱につまずけばよかった…。ガクッ。

 私が落ち込んでることなんて知らない先生は、どっさり手ろくろをくれた。

 心も重いけど、ろくろも重い。

 準備室の外に出るとき、魔法を解除した。みんなに猫目を見られたらいけないもんね。

「お、重いっ」

 先生、遠慮なさ過ぎ。

「オレ、もうちょっと持てるよ?」

 ハヤト君はそう言うと、私が腕に抱えてた手ろくろの山から、数個、ヒョイヒョイっと自分の山に移し替えてくれた。

 ハヤト君って、やっぱり優しい。

 やっぱり好きだよ…