あれから再び体調が悪くなることはなく、下校時間になった。

「小山、1人で帰るのか? 気を付けて帰れよ。送ってやれたらいいのになー」

 ハルト君だ。心配してくれるなんて、嬉しい!

「大丈夫。ありがとう。部活、がんばってね」

 私は美術部だけど、今日は大事を取って部活を休むことにした。

 あの黒猫は、午後もずっと私のことを観察し続けてた。

 まさか、家まで付いてこないよね?

 悪い予感は的中するものだね。心配した通り、下校中も黒猫は、私から3mぐらい後方を、ひたひた歩いて付いてきてるっ!

 どうしよう!?

 マンションの中まで入ってこられたら、大問題になってしまうはず。だってペット不可だから。

 あっ、そうだ!

 私は、自宅マンションには向かわず、自宅マンションのすぐそばにあるお店に向かうことにした。

 本当は寄り道禁止だけど、非常事態だもんね。それに、みんなは部活中だから、見つからないはず。

 もし見つかったとしても、『体調不良だったから』って言い訳すればいい。何せ、今から向かうには、私のお母さんのお店なんだから。
 
 やっぱりまだ黒猫は付いてきてる。

 私はお店に着くと、サッと店内入って、素早くドアを閉めた。