「あれは…ツムギが産まれたときに、おばあちゃんから『この子は魔女だ』って言われてたけど、お母さんは『そんなはずがない』って言ってて…。だから、おばあちゃんに負けたっていう悔しさよ。ツムギはツムギだもの。魔女でも、魔女じゃなくても」

 お母さんは肩をすくめた。

「ただ、魔力の質と量、共に、お母さんでは対処できない魔女ってことだけは、正直、困ってるんだけどね。おばあちゃんに助けを求めないといけなくて、これがまた悔しい! あの勝ち誇った顔、くー」

 なんだ、そうだったんだ。お母さんは、私が魔女でなければよかったのに…って思ってるんだとばかり思ってた。

「ふふっ、ツムギも本気の恋をすれば分かるわよ。魔術師か一般人かなんて、鼻息で吹き飛ばせるような小さなことなんだから」

 ハヤト君が魔術師だったら…そんなことあるわけないんだけど、そうだね。ハヤト君はハヤト君だ。やっぱり少しも変わらず、ハヤト君のこと好きだろうな。

 なら、ハヤト君が私の正体を知っちゃったら? どう思うのかな?

 私なんかのこと、そもそも好きでも何でもないんだもん。気味悪く思っちゃったりするのかな?

 ひとまず、魔女ってことがバレないように気をつけよっと。