魔女の恋は空回る

 お母さんのお店は、半分、お母さんの趣味みたいなものだ、と私は常々思ってる。そう言うと怒られるだろうから、黙ってるんだけど。

 だから、中学に入ってからはそうでもないけれど、それまでは、学校が終わるとしょっちゅうお店に出入りしていた。

 今日は店内に、私もよく知っている常連のお客様がいた。私はあいさつをしながら、お店に入った。

 接客が終わると、お母さんは私に尋ねた。

「それで? お店まで来たってことは、学校でまた何かあったんでしょ?」

「この前、私がお母さんに、魔女ってけっこういるのか聞いたの、覚えてる?」

「覚えてるわよ。車の中でそんな話、したわねぇ」

 私はカウンター席に座った。

「あのときは、おばあちゃん家に着いちゃったから、言いそびれたんだけど…、ショコラが言うには、学校で、私以外の誰かが魔法を使ったらしいの」

「ツムギ以外に魔女がいるってこと?」

 私は頷く。

「しかも、今日は、私に魔法がかけられたんだって」

「何ですって!?」