「ツムギ」

 どこかへ消えたはずのショコラも戻ってきた。

「あなた、自分に魔法をかけられたの、気付いてる?」

「え!? ううん。それ、いつ?」

「ツムギは、なぜ、あの場所に行ったの?」

「今日は外でスケッチしたい気分だったから、美術室を出て、最初にここへ来たの。でも、その後すぐに、なんでかどうしても運動場に行きたくなって…」

「それよ、ツムギ。ここから運動場へ誘導する魔法がかけられたわ」

 言われてみると確かに、お母さんのハーブティーを飲んだときと同じような衝動に駆られた気がする。

「い、一体、何のために!?」

「目的までは私には分からないわ。でも、ツムギ、気を付けた方がいいわ。私も、ツムギの周りを警戒しておくから」

「ありがとう…」

 私は鉛筆を動かしながら、さっきの出来事を思い返して考えた。

 運動場へ私を誘導して、私にボールをぶつけたかった? でも、小さなたんこぶができただけ、なのだ。ただの嫌がらせ? でも、わざわざ魔法を使って、そんな嫌がらせをする? 何か得になる?

 あっ!