「道具の機能を一時的に無効にする魔法をかけただけよ。30分もすれば元に戻るわ。貧弱な魔女の魔法なんだから。ふんっ」

 お母さんってば、おばあちゃんに言われたことを、まだ引きずってたのか…。

 お父さんはメガネを外して、調べてる。

「ツムギなら、一時的どころか永久に無効にできると思うわ。レンズにヒビが入るか、バキバキに割れるんじゃない?」

「私、そんなことしないよっ!」

「おいおい、本当に母さんは魔女なのか? それにツムギも?」

「結婚前から16年間ずっと、私は魔女だって言い続けてきたじゃない? 何を今さら!」

 お父さんは呆然としながら、つぶやいた。

「…ごめん」

「分かればいいのよ、ふんっ」

 お母さんはさっきと同様に、お父さんのメガネに手をかざした。

「うわっ、戻った! 見える!」

「手品じゃないからね」

 お母さんがお父さんを睨む。

「悪かった。もう2度と疑わない」

「よろしい」

 お母さんはにっこりした。