「ねぇ、体から魔力が漏れないようにするのは分かったけど、使わないで、ずーっと体内に溜め続けた魔力はどうなるの?」

「通常は消失するけど、まれに暴発する。気を付けな。大変なことになるよ。だから、貧弱な魔女のくせに、お前の母さんだって、ちまちま葉っぱに魔法かけて、魔力を消費してんじゃないか」

「ちょっとー、母さん。そこで突然、ディスってこないでくれる?」

 お母さんは子供みたいに、むすーっとふくれた。

「でも、おばあちゃん、魔力を溜め過ぎないためには、どうすんの? 魔法を使うしか方法はないの?」

「そうだよ。人に見られないように、だ。お前はまだ、損にも得にもならない魔法にしとくんだよ。いい本があるから、それも持って帰りな。私も、お前の母さんも、昔、読んで勉強した本だよ」



 帰りの車内で、受け取った本をペラペラめくった。

「ずいぶん古い本だね。古文の教科書みたい…」

「お母さんは、その本、小学生の頃に読んだから苦労したわ」

 お母さんが笑った。

「何はともあれ、何とかなりそうで、お母さん、ホッとしたわ。でも、すごく疲れちゃった。あの人に会うと、いつも疲れちゃうのよね。他人の生命力を吸い取る魔法でも使ってるんじゃないかって、疑いたくなるレベルで」

 私までつい笑ってしまった。