お母さんはおばあちゃんの家のインターホンを押した。

 おばあちゃんが玄関を開けて出てきた。

 お母さんとおばあちゃんはひと言もしゃべらずに、お互いをじっと見つめた。

 何なの、この緊迫した空気…。

 しばらくそのまま動かなかったんだけど、とうとう、おばあちゃんの肩が震えだした。

「ぷっはっは! 2人とも、さっさと中に入んなさい」

 私は、お母さんの後に続いて、家の中へ入った。

「だから、ツムギが産まれたときに言ったのに! 『この子は魔女だ』って。お前はかたくなに認めようとしなかったけど、やっぱり魔女だった」

 おばあちゃんは、大笑いした。すごく楽しそう。

「私には本当に分かんなかったの! 魔力を感じなかったの! 母さんほどの魔女なら、微弱な魔力も感じたってことなのね…はぁ」

「で? 詠唱なしで魔法が使えたって、メモには書いてあったけど?」

 おばあちゃんは私の顔を覗き込んだ。

 おばあちゃんはニヤニヤした。

「これは、これは、なかなかの…。お前の子がこんな強くて豊富な魔力を持ってるだなんてねぇ。でも、ツムギは、私の孫でもあるし、あり得る話だねぇ」

 暗い顔をしているお母さんとは対照的に、おばあちゃんはやけに嬉しそうだった。