県内に住んでいるおばあちゃんの家には、お母さんと車で向かった。

 私はハンドルを握るお母さんに話しかけた。

「魔女なのに車なの? ほうきで空飛んだりしないの?」

「あのねぇ…」

 お母さんがケラケラ笑う。

「飛ぶって、すっごーく大変なことなのよ? 重量に逆らうんだもの。昔なら、飛べる魔女もゴロゴロいたかもしんないけど、今の時代にはそうそういないわよ。第一、現代は航空機やらヘリコプターやらがたくさん飛んでて危ないし、ドローンなんかに撮影されちゃったら、大事になるわー」

「昔の魔女より今の魔女の方が、魔力が弱い?」

「弱い、弱い。魔女の中には、魔術師と結婚して、子孫を残した人もいたんだけどねー。でも圧倒的に、お母さんやおばあちゃんみたいに、普通の人と結婚した魔女の方が多いのよ。魔女の血は時代を経るにつれて、段々、薄くなってるわ」

 お母さんは、はぁーと大きく息を吐いた。

「それなのに…それなのに…どうして? ツムギは先祖返りなのかなぁ??」