私はどうにかノロノロ立ち上がると、保健委員の子に付き添ってもらって、保健室へ向かった。

 その途中で、男子のコートの横を通り過ぎた。

 試合を中断こそしていなかったものの、みんな、こっちを気にして、チラ見してくる。もちろん、ハルト君も…。

 直視なんてできなくて、わざと視線を外してても、ハヤト君の顔が視界の隅に入る。

 胸が痛くなってしまいそうになるほど、私のことを心配してくれてる。

 ハヤト君、優しいもんね。ただのクラスメイトに過ぎない私なんかのことを、心の底から思いやってくれてる。

 そんな顔させちゃって、ごめんなさい。

 それにしても、ああ、恥ずかしいっ! せめて、映画かアニメのヒロインみたいに、ふらぁっと可憐に倒れたかったー。ドサッと勢いよくしゃがんでしまったじゃない…