「んーと…美術部に入れば、かな?」

 ウソだった。

 他にも美術部の子なんて何人もいる。

 私がバスケ部をラフスケッチしに行ったことをきっかけに、ハヤト君と知り合いになったことを知って、連日、バスケ部にスケッチしに通い詰めた部員もいた。

 でも、ハヤト君がその子に話しかけることはなくて、その子もついに諦めた。

 そうそう、文化祭のときにも、ハヤト君は美術部の私の展示を見てくれたんだった。

 たいていの人は、地味な美術部の展示なんて、まるっきり興味ないの。

 でも、文化祭後に会ったとき、ハヤト君はやっぱり話しかけてきてくれた。

「小山って、絵を描くだけじゃないんだな!」

 私は、粘土作品を出展したの。

 みんな絵画だったから、立体的な作品もあると面白いかな、って思って。

 『スポーツする人』っていう題で、バスケ、水泳、テニスをする3体でセットにした。

 バスケのは、ナイショなんだけど、もちろんハヤト君がモデルだった。

 この頃までには、私はハヤト君が自分にとって特別な存在で、これが恋だと分かるようになってた。

 だから、2年生になって、同じクラスになれたときは有頂天になった。