「見てもいい?」

 そう言いながら、私のスケッチブックを覗き込んで、ハヤト君は大きく驚いてた。

「すっげぇ、 プロみたい! 同じ中学生がこんなに描けるの!?」

「い、言い過ぎっ」

「集中して描いてるな、って思ってたんだよね。こんなスゴい絵だったんだ。うわぁ、オレも描いてもらえるように、練習がんばろっと。オレのこともいつか描いてよ」

 えぇー! さっきからずっと、あなたのことしか描いてないですよ??

 ドキドキし過ぎちゃって、もちろん、そんなことは言えなかったんだけど。

 あの日、バスケをしてたハヤト君に一目惚れしたのか、休憩時間に見せてくれたキラキラの笑顔にノックアウトだったのか、定かではないんだけど…でも、あの日、確かに私はハヤト君に恋をした。

 そのときはまだ自覚してなかったんだけど、今ならはっきり分かる。