翌日、私は意気揚々と学校へ向かった。

 お母さんはあんなこと言ってたけど…、ワクワクしちゃう。

 だって、魔法を使えば、ハヤト君と仲良くなることもできるんじゃない?

 私、中学に入学してからずっと、ハヤト君のことが好きなの。

 あれは美術部に入部してすぐのことだった。

 天気のよかったある日、顧問の先生が部活の始めに、突然、宣言した。

「今日は運動部のスケッチをしましょう! 動きが速いから難しいわよ。ラフでいいから素早く描くこと」

 思い付きで発言することが多い先生だってこと、今なら知ってるけど、あのときは驚いたなー。

 3年生の先輩が手を挙げた。

「運動部なら何部でもいいんですか?」

「いいわよ。ただし、ジャマにならないように、集団で行かないこと」

 先輩たちは、『スケッチしやすそう』って、バレー部や野球部に行った。

 だから私は、誰も行かなかったバスケ部を選んだ。

 今、思うと、あれが運命の出会いだった。