魔女の恋は空回る

「ハヤト君だけでなく、サキちゃんまでって…ツムギちゃんって、スゴ過ぎない?」

「いい子だけど、ぶっちゃけ普通…だよね。あっ、もしかして、魔法とか使えたりして…」

「えっ? 小山、魔法使い説ってこと?」

 みんなのおしゃべりが聞こえてきて、私はついクスクス笑ってしまう。

「ん? どうかした?」

「何か面白いことでもあったの?」

「ううん、何でもないの。ハヤト君、ごめんね。サキちゃんとの約束は、サキちゃんとだけで実行させて。でも、私、ハヤト君と科学館のプラネタリウムに行きたいの」

 ハヤト君の顔が、ぱあっと明るくなった。

「それで、あのときの続きをさせてほしいの」

「あのときの…続き?」

 私はハヤト君に小声で話した。

「プラネタリウムで、またあの魔法を使ってくれる? 私たちの声が漏れないようにできる、あの魔法」

 ハヤト君がにっこり笑顔で頷いてくれた。

 今はまだ人工でもいい。

 満天の星空の下で、お互いに『好き』って言い合おうね。そして、きちんとカレカノになろうよ。

 ハヤト君、次ははっきりと私の『彼氏』だって言ってね。



おしまい