魔女の恋は空回る

「キャンプファイヤーは中止! プラネタリウム上映会に変更します!」

 先生の声が聞こえてきた。

 ゆっくりと移動が始まった。

「私たちも行きましょ」

「そうだな」

 サキちゃんとハヤト君は、トレッキングのときと同じように、座り込んだままの私に、手を差し伸べてくれた。

 ショコラは、『お疲れ様』とだけ言って、消えた。

「ツムギちゃん、あの猫ちゃんは何者? ツムギちゃんが魔女だから、特別な猫ちゃんとも友達なの?」

「あ、う…ん…ええっと…」

 私はどこまで話していいのか分からなくて、返答に困った。

「大丈夫。オレの魔力が回復したら、丸田には口封じの魔法かけとくから。それとも、記憶改ざんの魔法がいい?」

「えー、やめてよ。そんなの必要ない。ツムギちゃんが黙っててほしいことは、私、他言したりしないもん」

「そうだよな。丸田には、小山を困らせるようなことなんて、絶対できる気がしないわ」

 何だかくすぐったくて、話題をワザと変えた。

「それにしても、私たち、せっかく5組の先生のクイズ作ったのに、ムダになっちゃったね。部活を犠牲にして、あの長ーい話を我慢して聞いたのに」

「本当だー!!」

 私たち3人は、そろって声を出して笑った。