魔女の恋は空回る

「ええぇーー!」

「話は後で。急いで消火しよう! …って言っても、オレ、さっき風を起こすのにかなり魔力使っちゃったんだけど」

 そうだ、とにかく今は一刻も早く水を出さなきゃ! おばあちゃん、確かに、この魔法は火事とかに便利だわ。

 本当は隣に立っている魔術師のことが気になって仕方なかったけれど、私は魔法に集中することにした。

 職員さん、どんだけ灯油をぶち撒けたの!? 気前が良過ぎだよっ。

 燃え広がろうとする炎を抑えるだけでも大変。消火まではとてもじゃないけどできなさそうっ。

 水を作り出すのは大変なのにーっ。猫目や竜巻を作るよりもずっと、ずっと。

 途中で魔力切れを起こしてしまった。

 でもそのとき、ショコラが来てくれた。

「預かってた魔力、返却してあげるわ。がんばって」

「ありがとう!」

 私、あの集落の魔女の血を引いてるんだから…

 ええいっ!!