「みんなはどうして滑らないのー!?」

 何度目かの尻餅に、私は叫んだ。

 私の目の前に、同時に2本の手が差し出された。

 ハヤト君とサキちゃんの手だった。

「ほら、がんばって!」

「もうひとがんばり!!」

 右手をハヤト君に、左手をサキちゃんに引っ張り上げてもらった。

 何て贅沢な手助け!

 ようやくトレッキングを終えたとき、私のジャージはひときわ汚れてた。

「うわーっ、キャンプファイヤーまで着ないといけないのにー」

「それでもリタイアせずに、ゴールまでよくがんばったよな! ほら、ほらっ、日陰で体を休めて、しっかり水分補給しておけよ」

 ハヤト君が労ってくれたのが嬉しかった。